板ばさみは派遣会社の都合でしかない

派遣会社は板ばさみの状態にあるとよく言われる。
例えばメーカーであれば、
商品をクライアントに売り込むことになる。
しかし派遣会社となると話が変わってくる。
クライアントに商品を売り込むことは同じなのだが、
問題はその商品が感情を併せ持つということだ。


つまり人間が商品であり、クライアントだけでなく
派遣スタッフの要望にも答えなければならない場面が出てくる。


派遣会社がクライアントと派遣スタッフとの
板ばさみの状態にあると言われるのは、
こういったところがある。
しかし仕事においては、
板ばさみを言い訳にしたらいけない。


先日、一本の電話が入った。
13:55。


ブブブブ、ブブブブ
('A`)「はい、ポン他です。」
「株式会社Aの○○と申します。
 ポン他さん、B地区での仕事があるんですがどうでしょう。」


('A`)「ほんとですか。」
「はい。勤務時間は2つあるんですよ。
 8〜20時と、20〜8時がありまして。
 ポン他さんは日勤と夜勤とどちらがいいとかありましたっけ?」


('A`)「いやー、どっちかって希望はないんですよ。
   夜勤がどういうものかわからないので。」
「そうですか、夜勤は深夜手当てがつくので稼げますよ。」


('A`)「時給はおいくらでしょうか?」
「時給は1100円で、残業になりますと1375円になります。」
('A`)「なるほどー、そうですか…。
   夜勤はやったことないので、今回は日勤でお願いします。」
「そうですか。工場見学なさいます?」
('A`)「はい、じゃあよろしくお願い致します。」
「じゃあ16:30に△駅に来てください。
他にも見学者が何人かいて、多数決でそこになっちゃいました。
ポン他さんには遠くて申し訳ありませんけど。」
('A`)「いいですよ。
   じゃ、失礼致します。」
   
ガチャ

('A`)「てか16:30てあと2時間しかねーじゃん!
   やばい、いそがなきゃな。
   まずシャワーを浴びよう。」


30分後
('A`)「よし、シャワーも浴びたし、支度してすぐ出よう。
   あれ、さっきの人から着信が入ってる。
   家を出て駅に行く途中でかければいいか。」
しかし、支度の途中で向こうから電話が入る。

ブブブブ、ブブブブ
('A`;)「はい、ポン他です。」
「あ、ポン他さんですか。
色々と確認しなければならないことがございまして。
まだ派遣先の社名と住所言ってませんでしたよね?」
('A`;)「はい、じゃあ書く物用意しますので。
    …はい、お願いします。」
「社名は××で、住所は大阪市B区☆☆です。」
('A`;)「はい、わかりました。」
「あと仕事内容なんですが、
ポン他さん硫黄の臭いってわかります?
温泉とかでよくあるんですが。」
('A`;)「わかります。」
「ああいう臭いがするしgt…」


…グダグタと説明が続く。
電話は電車に乗る直前でようやく終えることができた。


電車の中で電話で話したことをメモ。
そして、ふと携帯を見ると驚愕した。
また派遣会社からの着信が入っていたのである。
留守番メッセージも吹き込まれていたので聞いてみる。


「もしもし、お話したいことがありますので至急お電話ください。」
('A`;)(またかよ。
    電車乗り継ぐときにかけるか。)


しかし向こうは待ってくれない。
再び電話がかかってくるのである。


ブブブブ、ブブブブ
('A`メ)(こいつふざけてんのか?
    電車の中だけど仕方ない、小声でしゃべるか。)


('A`;;)「(ボソボソ)はい、ポン他です。」
「ポン他ですか。すいません今電車の中ですよね。
 また確認したいことがありましてね。
 通勤時間は1時間ちょっとくらいですけれども大丈夫ですか?」
('A`;;)「そうですね、工場見学に行ってみて判断してみます。」
「遠いからって辞めるのはやめてくださいね!」
('A`;;)「はい…。
    (ただの念押しかい…。)」


いろいろ言われたがやっと電話が切れた。
電話の最中、となりの客の咳払いや車掌からの注意があったのは言うまでもない。


そして再び電車の中で着信。
('A`;;)(なんでこんなにいじめるんだ?)


乗り継ぐ駅で降りて、急いで折り返し電話。
('A`;;)「すいません出れなくって。」
「あ、ポン他さんですか。
 あの〜誠に申し訳ないのですが、工場見学はまた今度でお願いできますか。」
('A`;;)「えっ?」
「一度に工場見学できる人数が10人でして、
 今日は10人を超えてしまったんですよ。
 それで一番遠いポン他さんにご遠慮していただこうと思いまして。」
('A`;;)「…。」


これはひどい
そりゃあこの人だけが悪いんじゃないって事はわかってる。
営業の人、コーディネーターの人だって上から色々言われて
その通りに仕事をしていたんだろう。


みんなやるべきことをやった結果、
運悪く私が損をする羽目になったんだろうと、そう思っている。


しかし派遣社員にとってはそんなこと知ったことではない。
私のこの時の立場だけで言ってみると、
たらいまわしにされただけで終わったことになる。
電話で仕事があるといわれ、工場見学に向かっていただけなのに。
ミスなんかしていないし、時刻にちゃんとつくように動いていた。


こんな理不尽なことをされたら、
「派遣会社は板ばさみだからしょうがないな」なんて思うのはむり。
やっぱり派遣会社の勝手な都合でしかない。
このときはっきりと思った。


私は来年から派遣会社でやっていけるんだろうか。
派遣先や派遣社員など、
たくさんの人たちに迷惑をかけるかもしれない仕事を。
やるとしたら「板ばさみだから」なんて言い訳を仕事すべきじゃないな。


ちなみにこの日のうっぷんは
バッティングセンターでめった打ちをして、
チャット友達に愚痴ることですっかり解消されました。