大広被室へ行け。

「大広被室へ行け。」
そうはっきりと言われた。


言われたときのことをさかのぼろう。


私は新しい職場に、初めてのアルバイトにやってきた。
担当はたしか東堂さんだった。
(´・ω・`)「すいません。東堂さんいらっしゃいますか。」
「あー、今いないみたいです。」
(´・ω・`)「そうですか…。今日新しくバイトに来たんですけども。」
「そうなんだ。じゃああたしが教えよっか?」
(´・ω・`)「はい、よろしくお願いします。
    (結構かわいいこだなぁ。)」


しばらく雑用のことを教えてもらった。
しかしそこから一定の記憶はない。
次の場面から再び続ける。


私は職場の裏を歩いていた。
一人の知らない男と。


歩いていると、
辺りは軍服を着ている人の多い場所になった。
その軍服とは、あたかもニュースで度々観るような、
ジャーナリストが隠し撮りした隣国の兵士が着ているようなものだった。


その軍人とも言える人たちは、
一般市民に暴力を振るっていた。
その光景は怖くもあり、また異様でもあった。


「ちょwww、なにあれwwww」
共に歩いていた男が、
暴力を振るっている軍人に向かって指をさして言い放った。
(゚Д゚;)(ばかっ!指差して言うなよ!)


そしたら案の定、自分たちに言われたことに気づいたようで、
3人の軍人が近寄ってきた。
「おいゴラァ、何様のつもりだ貴様は。
ふざけんなっ!」


そう叫ぶと軍人たちは私の横の男に対し、
殴る蹴るの暴行を始めた。
( ;゚Д゚)「あわわっ。」
その矛先は私にも向けられた。
「一緒にいるおまえもだっ!」
('A`;)「オウフッ!」
私もとばっちりとして、
同じように暴行を受ける羽目となった。
やられっぱなしだけど、やり返すわけには行かない。
相手が軍人であれば、それに従うことが私に備え付けられた常識だ。


しばらく痛めつけられた。
すると軍人は飽きたのか、それともただ疲れたのか、
いったん暴行を止めた。

そして
「これからゲームをする。
主役はお前ら二人だ。」
まるでやり慣れていることのように説明し始めた。


説明を聞くと、どうやら我々二人がそれぞれ軍人を肩車するらしい。
そして質問に対し正解だと思う所定の場所に行き、
軍人に答えを押してもらうとのこと。


「まず第一問。
〜〜と言えば何?」
(`・ω・´)「むっ、あれだなっ!」
肩車をしたままヨロヨロと歩いていき、
おぶっている軍人から答えを押してもらった。


「ブッブー!」
('A`)「ええっ!」
どうやら間違えたらしい。
問題の解き方を勘違いしていたようだ。


「第二問。
〜〜と言えば何?」
(`・ω・´)「えーっと、あれに違いない!」
また先ほどの工程を繰り返す。


「ブッブー!」
('A`;)「えーっ!」
今度も間違えた。
いったいどうなっているんだ。


「おまえの勝ちだな。
これで帰してやろう。」
「やったー!」
「負けたお前は大広被室へ行け。」
(´・ω・`)「はい…。」


一緒に暴行を受けた男はゲームで勝ち、
軍人数人に囲まれながら、帰っていった。
私はと言うと、先ほど言われた大広被室という表札が掲げられている部屋の前に来た。


(´・ω・`)「一体何の部屋だろう。」
部屋の扉を開け、そ〜っと中を覗いてみた。
すると思いがけないものを見たように、私はぎょっとした。
それは見覚えのある光景であり、
一目で「あれだっ!」とわかった。


それは火葬場の、仏様を焼くコンロ(?)であった。
扉を開けた瞬間、ムワッと熱気が押し寄せてきた。
私はとっさに「これはいけない!」と思い、
逃げ出そうと思った。


しかし、その時にはもう遅かった。
私の周りを、すでに3人の軍人が取り囲んでいる状態だったからだ。
('A`)「あ…、あ…。」
軍人たちは私の表情を予想していたかのようだった。
そしてそのうちの一人が話を始めた。


「もう一人のやつはゲームに勝ったから逃がしてやった。
だがおまえはお前は負けた。
我々としてはお前を生きて帰すわけにはいかんのだ。」


もはや私にその声は聞こえていなかった。
しかしそれは諦めたからではない。
私が逃げる作戦を試みようとしていたからだ。


私はとぼけるのが得意な人間だ。
そしてここでもそのずる賢さを発揮しようとした。


私はその場でがっくりと肩を落とした。
さも諦めたような印象を植え付けたかったからだ。
すると彼らは、私がもはや逃げないと感じ取ったのか、
リラックスしたような姿勢をとった。


「よっておまえはdfou……。」
話はいまだに続いてる。
だが逃げるには今がチャンスだと、
私は場の空気で感じ取った。
そして取り囲まれていながらも
開いている隙間に視線を注ぎ、
私はその先の空間へ飛び出そうとした。


…ここで目が覚めた。
('A`;)「夢だったのか…。」


体がとても熱い。
その熱さは大広被室を覗き込んだときと
まったく同じ感覚だ。
もう怖い夢は見たくない。
でも怖い夢はいつも見てしまうんだ。